■土壌汚染地の評価総まとめ
第10~13回にわたり、土壌汚染地の評価についてご紹介してきました。
文章が長いうえ、わかりづらい表現が多かったかもしれません。
そこで、これまでの内容をぎゅっと詰めて総まとめとしてご紹介します。
みなさまの参考になれば幸いです。
■相続税評価で「値引き」できるのは、土壌汚染地だけである
1.相続税評価では
ガソリンスタンドの敷地だから、
クリーニング店の敷地だから、
など、土壌汚染の疑いがあるからというだけで「値引き」できません。
被相続人が亡くなった時において、その土地が土壌汚染地であることが判明している必要があります。
2.土壌汚染地であることは、土壌汚染対策法に規定する指定調査機関(以下「指定調査機関」といいます。)がPhase2の内容の土壌汚染調査をしないと判明しません。
くわしくは
二刀流ブログ第11回をご覧ください。
■不動産実務での「値引き」額は、完全対策と一部対策で変わってくる
1.「値引き額」は土壌汚染対策を完全に行うのか、一部だけ行うのかで変わってきます。
2.完全対策を行う場合の「値引き」額は、
・Phase3の内容の土壌汚染調査及び見積費用
(Phase3の内容の土壌汚染調査及び見積が相続開始時点で行われていない場合)
・完全対策費用(完全な浄化・改善費用)
・スティグマ
の合計額です。
3.一部対策を行う場合の「値引き」額は、
・Phase3の内容の土壌汚染調査及び見積費用
(Phase3の内容の土壌汚染調査及び見積が相続開始時点で行われていない場合)
・一部対策費用(部分的な浄化・改善費用)
・使用収益制限による減価
・スティグマ
の合計額です。
くわしくは
二刀流ブログ第12回をご覧ください。
■相続税評価での「値引き額」は不動産実務と少し違う
1.相続税評価の「値引き」額は不動産実務と考え方はほぼ同じですが、路線価の性質、客観性の観点から少し違っています。
2.完全対策を行う場合の「値引き」額
完全対策費用(※1)、スティグマ(※2)の合計額の80%相当額
※1個人的にはPhase3の内容の土壌汚染調査及び見積が相続開始時点で行われていないのならばその費用も完全対策費用の付随費用として含めてよいのではないかと考えていますが、当局の情報ではあきらかではありません。
※2スティグマは客観性の観点から計上することは困難であると思われます。
3.一部対策を行う場合の「値引き」額
一部対策費用(※1)、使用収益制限による減価、スティグマ(※2)の合計額の80%相当額
※1個人的にはPhase3の内容の土壌汚染調査及び見積が相続開始時点で行われていないのならばその費用も完全対策費用の付随費用として含めてよいのではないかと考えていますが、当局の情報ではあきらかではありません。
※2スティグマは客観性の観点から計上することは困難であると思われます。
4.土壌汚染対策費用が確定している場合には、確定している土壌汚染対策費用のうち被相続人が自分の財布から支払わなければならなかった金額を相続税の課税価格から控除すべき債務として計上できます(相続税法13条、14条)。
この場合の土地の評価額は、土壌汚染がない場合の価額です。
くわしくは
二刀流ブログ第13回をご覧ください。
■「値引き」できる土地の判定フロー
■土壌汚染の「値引き」額の査定フロー
■参考文献
「土壌汚染地の評価等の考え方について」(情報)
資産評価企画官情報第3号、資産課税課情報第13号(平成16年7月5日国税庁課税部資産評価企画官資産税課)
平成28年6月27日裁決、平成28年7月4日裁決
東京競売不動産評価事務研究会編 『別冊判例タイムズ 競売不動産評価マニュアル第3版』 判例タイムズ社刊
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